議会の議論を活発に!

議会の問題のひとつに「眠くなる」というのがある。つまり議論が活発でないので、議員も傍聴者も眠くなってしまうのだ。今日の朝日新聞の熊本市議会に関する記事は大変参考になる。「話が抽象的」「眠くなる」「出来レースみたい」「皆紙を見て発言している」「質問者が少ない」などなど、これは熊本市議会だけの問題ではないはずだ。

 

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質問者少な! 熊本市議会、のどあめより大切な品位って

2019年1月16日(朝日新聞記事)

 

「のどあめ」に端を発した昨年の議会中断で注目された熊本市議会。多くの議員から「議会の品位」「議会は神聖な場」との言葉を聞いたが、どうあるべきなのだろう。先月あった市議会12月定例会の一般質問を、九州出身の漫画家倉田真由美さん(47)に一緒に傍聴してもらい、「品位」や議会のあり方を考えた。

 

「のどあめ」なめて登壇、懲罰動議に発展 熊本市議会

議長への黙礼やめます 熊本市議、騒動以来の登壇で宣言

 一般質問は土日をのぞく13~18日にあり、計7人が登壇した。倉田さんは主要5会派の一つに所属する中堅議員の回を傍聴した。

 

 午前9時半ごろ、議会棟5階で傍聴受け付けを済ませた。傍聴人は40人ほど。結構多い。ロビーで倉田さんに、2017年に女性市議が乳児同伴で議場入りしたことについてどうみるか聞くと、「難しい問題。一石を投じたとは思うけれど、行動より先に提案があるべきだと思うし……」。

 

 午前10時、議会が始まり、メモ帳で筆談しながら聴いた。市議会での1人の持ち時間は質問と答弁を合わせて120分。倉田さんは議場を見回して、〈若い議員、少ないね〉〈女性議員も1割くらい?〉。熊本市議の最年少は現在38歳。女性議員は47人中6人で1割強だ。

 

 予定する質問は8項目。最初の2項目の質問と市長の答弁を聞いて、倉田さんがイラストを描き出した。手元の紙を読むために、目線をずっと下げて議場を見渡さない議員の様子に、〈聞かせる(対象の)人の顔を一切見ない〉〈出来レースみたい〉。熱心にメモを取る議員もいる一方、全くとらない人もいる。〈傍聴者の方が顔上げてる〉。質問者は1日最大2人だと教えると、〈少な!!〉。

 

 質問者が数分間述べて、市長や局長らも紙を手に数分間答弁する。大西一史市長の答弁に〈抽象的な話の応酬〉〈何をどうするか一切見えてこない〉。でも、議員はそう感じないのか、再質問せずに、次の質問へと移る。これは、一般質問が議長への通告制をとっているからだろう。通告をもとに市側と議員は事前にやりとりをしており、答弁の「限界」がわかるのだ。原稿にまとめる議員も多い。

 

 市民の関心事、市役所本庁舎の建て替え問題が出たとき、〈市民アンケートはとってないの?〉と疑問を持った倉田さん。その後も素朴な疑問が次々と浮かんだらしく、〈質問者以外は発言できないの? 少なくとも、答弁後、議員から挙手で質問を受け付けるくらいはするべき〉。フリートークの常任委員会と異なり、一般質問で質問者以外が発言しないのは熊本市議会では当たり前だと記者自身も思っていた。取材するうちに自らが「慣習」に染まっていたことに気づく。

 

 45分たたないうちに、首を横に傾けたまま動かず居眠りをしているように見える議員も2、3人。でも、倉田さんは居眠りにはちょっぴり同情的だ。〈こんなに自由度低い会議では、居眠りが出るのも仕方ない。会議のやり方を抜本的に変えるべき〉

 

 持ち時間30分を残し、終了。議会棟を出た倉田さんは感想を聞かれ、「何も起こらない場所、それが市議会、という感じだね」とぴしゃり。「予定調和の中ですべて進行しているから、少しでも異分子がいると、悪目立ちするし、過剰反応しちゃうのかな」と騒動について推察した。そして、品位についてこう語った。「品位とは、まず提案に対して全身全霊で考え、応えること。絶えず市民の側を向くこと。のどあめとかは些末(さまつ)なことだと思う」(柴田菜々子)

 

「滞りなく議事進行すること」

 朽木信哉議長(73)に品位について尋ねると、「議事が滞りなく進行することが品位です」。議場では居眠りする人も散見されるが、居眠りは品位を損ねないのかと尋ねると、否定せず、「体調が悪い人もおるけんね……」。

 

 自民党市議団のある議員に一般質問が1人あたり120分という時間が長いのではないかと聞くと、「議会改革として、今春の選挙後に話し合ってもいいと思う。年1回120分だが、年2回60分にするとか」。市執行部とのやりとりが論戦になっていないのではないかと聞くと、「1年越しの質問を詰め込むので、時機を逸した質問になってしまうのも、退屈に感じる理由の一つかもしれない」と話した。途中、離席した議員に理由を尋ねると、「別に選挙で忙しいとかではないよ。最近はお利口さんの議員が増えた。マニュアルばっかり」と持論を述べた。

 

「市民のために働く姿勢・誠意」

 熊本市内の大学に通う2年大塚海香(みか)さん(21)も議会を傍聴したことはない。別の議員の一般質問を傍聴席で見ながら、筆談した。

 

 この回は、自席で立てひざのような姿勢をとる議員がひとりいて、〈学生だったら注意されますね〉。居眠りや私語をする議員も散見され、〈議会の品位を問いたくなります〉。品位って何だと思う? と尋ねると、〈定義は人それぞれだと思うけれど、私は『市、市民のために働く姿勢や誠意』だと思う〉と答えた。

 

 大塚さんは大学の講義が後にあるため、1時間20分で傍聴席を出た。印象に残った場面を尋ねると、冒頭で男性議員たちが拍手をして盛り上がったところを挙げた。「同調圧力」を感じたという。

 

 大塚さんは一昨年に女性市議が乳児を伴い議場入りしたことの報道に触れるうち、「なぜ議員がここまでしないといけないのか、それを考えるのが政治家の仕事なのではないか」と思うようになったという。「議員の行動は逆効果ではと考えたときもありましたが、市議会を傍聴して、あれくらいの行動をしないと動かない、変わらないのだろうなとも感じました」