
田原総一朗氏や池上彰氏が政治家などにインタビューするときに、相手が答えにくそうな質問をどんどん投げかけていく。質問された側は困った顔をしたり、言いよどんだり、時には怒ったりする。しかし、「あなたのおっしゃる通りです」とは言わない。ただ、その様々な反応を聴衆に示して、後の判断は市民の判断に委ねれば、質問側の目的はほぼ達成されると考えている。2019年の大野市議会は一味違うぞ!というところを市民に
見せたい。
具体的な質問内容
一般質問項目名 (1) 市役所職員の「働き方改革」に向けた取り組みについて
※ 一般質問の要旨
● 石山市長は長時間労働削減、有給休暇取得推進等の「働き方改革」を進める職場を応援していく方針に間違いはないか?
● その方針は石山市長がトップを務める市役所、及び大野市立小中学校にも適用されると考えてよいか。
● 現在の市役所全職員の有給休暇の平均取得日数は何日か?
● 今年度における有給の取得日数の目標は何日か?
● 取得日数の目標は有給100%消化にすべきではないか?
● 平成26年から平成30年にかけて平均有給取得日数は1日しか増えていない。有休完全消化を妨げている要因は何か?
● 再確認のため、市役所職員の有給完全消化は市長の方針に沿っているか?
● どうすれば有給完全消化を実現できるのか、総務課の意見を伺いたい。
【攻略法】
市議による議会での一般質問で、行政が「はい、わかりました。直ちに有休全取得を義務化します」
などとは言わないだろう。そんなことは分かっている。
重要なのは、この質問を聞いている傍聴席の方々と、この質問の場合は市役所の職員である。
私の質問を聞くことになるのは、目の前の行政の人たちだけではない。
その後ろにいる職員や市民に訴える形で臨みたい。
実は、有休が取れないのは日本全国同じである。「業務が多いから取れない」というのが行政の本音だろうが、
今からでもできることはあるのではないか。4月に1年分の有休を事前に計画を立てて取れるようにしておく
とか、工夫すれば今よりも休みを取れるようになるはずである。
議員は一般市民の思いを議会で代弁する。行政職員は、行政の立場や観点でそれに対して答弁する。
「市民の思い」と「行政の理論」に齟齬があることを議会でオープンにすることが目的だ。
例えば、議員「有休完全消化しましょう」→行政側「そんなこと言ったって、業務が多いので…」
という流れになるので、
「有休というのはそもそも労働者に与えられた権利」
「職員が全部消化できないのは、マネージメントに問題があると考えていい」
「やれない理由よりも、どうしたら有休を全取得できるか考えて、4月からそれを実行して頂きたい」
などと議員は返答することになる。そして、大切なのは、市役所の長である市長にも見解を求めること。
「今、このような見解を総務課から頂いたのですが、市長も賛同しておられますか?」
「市長は、市役所内部の働き方改革も進めていくということでよろしいでしょうか」
「市長は、有休が取れていない現状を、マネージメントの問題として捉えていますか?」
全て市長としてはNOとは答えづらい質問だろう。Noと答えると、総務課との見解に相違が出てしまうからだ。
弁解をしたところで、聴衆は「行政が言い訳をしている」としか捉えない。
それは当然で、有休全取得という「当たり前のこと」が出来ていないことから発生している問題だからだ。
当然のことが実行されておらず、それを改革しようとする政治家も職員もいなかったことが問題だったのだ。
一般質問項目名 (2) 小中学校の夏休みのあり方について
※ 一般質問の要旨
● 夏休みの宿題、部活動、みこしダンスパフォーマンスの練習、夏休み中の登校日、これらは全て任意ではなく、学校による強制であると考えてよいか?
● 学期中ならともかく、夏休みまで学校が児童・生徒に何かを強制することについて、教育委員会はどう考えているか?
● 部活動、みこしダンスパフォーマンスの練習、夏休み中の登校日、夏休み中のプール開放が教員の仕事量を増やしていることについてどう思うか?
● 夏休みの宿題が、児童・生徒だけでなく親の負担になっているという事実を教育委員会は知っているか?特に、多くの家庭において、親が自由研究や工作を代わりにやっているケースが市内・市外に多いと聞いているが、その認識はあるか。
● 教育委員会は、児童・生徒が学校から何も強制されない長期の休暇を取ることについてどう考えるか。
● 今月生まれる私の娘が6年後、米国に帰省していたという理由で夏休みに宿題をしなかった場合、学校からどのような処罰をうけるのか知りたい。
【攻略法】
この問題も(1)と同じ。議員側の目的としては、
★ (誰も指摘してこなかったor できなかった)問題の所在を明らかにする。
★ 行政に語りながら、常にその後ろにいる聴衆を意識して質問していく。
★ 行政側の答弁に論理矛盾や住民感情との大きなズレを感じたら、すぐさまそれを指摘する。
があげられる。問題の解決は、議員ではなく行政側の課題である。
また、行政側は、恐らく夏休みの宿題や各種イベントの利点を語ってくる。
私はそれに対し、
「夏休みは、学校へ行かなくていいから、夏休みなのではないですか?」
「夏休みは、24時間の過ごし方を自分で決められるから、夏休みなのではないですか?」
「やりたい人だけ、希望者だけがやればいい話ですよね」
「うちの妻はアメリカ人ですが、夏休みの宿題をせずに育ちました。また大野市と交流しているフランスの
ウォルウィック市の学校には夏休みの宿題がないそうです。欧米の児童・生徒は知的に問題があるということですね?」
と(1)と同じ当たり前論で再質問していく。意識は常に、行政の後ろにいる聴衆と傍聴者である。
あと、職員の中にも「こんなのやったって無駄じゃん」と思いながら業務を遂行している人がいるはずだ。
行政が苦しい答弁をしたとしても、別に相手をやり込める必要は全くない。
一般聴衆に誰の論理が正当か考えるきっかけを与えれば、議員としての目的はほぼ達成だろうと考えている。
一般質問項目名 (3) 民間施設(和光園)が投票所となっていることについて
※ 一般質問の要旨
● 市議会議員選挙において、通常公立学校や公民館など、公の施設が投票所となっていることが多いが、民間の施設が投票所になっているのはなぜか?
● いつ頃から民間施設が投票所になったのか?決定の際に、誰かの助言を受けたことはあるか?
● 4年後の市議会選挙でも民間施設が投票所になる予定か?
● もしそうであれば、他の社会福祉施設も投票所にするべきだと思うが、投票所になる予定はあるか?
● 民間施設が投票所でなくなった場合、特に不利益を被る人物が今現在いないのであれば、近くの公の施設を投票所にすべきだと考えるが、どうか。
【攻略法】
一般の大野市民なら誰もが気づいているこの問題。
「ドン」と呼ばれた元大野市議が理事長を務めている施設が、大野市の投票所となっている件である。
行政側としてはなるべくタッチしたくない案件だろう。だからこそ重要な質問だと考えている。。
高齢者の介護施設が投票所となっているケースは福井県内ではここだけである。
一般的には、学校、公民館、集会所などの公の施設が投票所になる。
民間施設でも、こども園や保育園が投票所になることがあるが、社会福祉施設はかなり稀なケース。
なぜ大野市でこの「稀なケース」が続いているのか質問していく。
行政側としては、恐らく
1)和光園が投票所である利点
2)法的には問題ないこと
を語ってくると思う。
1)には、駐車場が広い、足が悪い施設利用者のために便宜上そうなっている、といった答弁が予想される。
これも再質問は容易。
★ 他の施設(聖和園、希望園など)や病院が正式な投票所になっていないのはなぜか。
★ まさか特定の人物に忖度して、和光園が投票所になっていることはないですよね?
(本当はそうなのだろうが、行政側にNoと言わせたいので、敢えて質問)
★ 特に希望園や篠座保育園は、和光園と同じ地区にあるのでここを投票所にしてもいいのではないか?
★ なぜ政治的に有力な元議員が理事長を務める施設が投票所になっているのか?
この問題もすぐさま行政委員会が処理するとは思わないが、誰も議会で指摘してこなかった問題を指摘し、
市民の前で問題提起することが目的。このプロセスが大野の民主主義を強くしていくと思う。