【書評】地方議会改革の10年 寺島渉著 「議会は首長の追認機関になるなかれ」

 前回ブログで紹介したの書評「地方議会を再生する」を踏まえて、今度は長野県牟礼村議会議長、飯綱町議長を長年務めた寺島渉氏の著書を紹介したい。この本のポイントは3つ。

 

① 議会は、首長の追認機関たるなかれ

② 議会は、多様な民意を吸収せよ(首長では、それができない)

③ 議会は、議長選挙を改革せよ



① 議会は、首長の追認機関たるなかれ

 

こういう議会に成り下がっている議会は本当に多いと思う。議会や会派にボスっぽい人がいて多数派を形成し、水面下で市長とやりとりして物事を決めてしまう…こうなると、市民の税金は政治家の指先1つでダウンさ~You Are Shock!!♬ということになる。更には、政党系議員以外は会派のない飯綱町議会と違い、大野市議会では会派の壁が強いので、自由闊達な議論を阻害する要因となっている。会派に入らないやつは「大野市議会の変人」と呼ばれることになろうか For everlove♬~。

 

地方議会の会派の中にはリーダー格の人物がいることが多く、「お前の意見は俺のもの、俺の意見も俺のもの」みたいになり、おーれーはジャイアーン♬となってはいないだろうか。会派の構成員が仮に反対しても会派拘束で意見を変えさせられるのが従来型の会派なのだ。

 

フレッシュな1年生議員でも議会に入り1年も経てば既存の議会・会派制度にどっぷりつかってしまう(最新版 市民派議員になるための本 寺町みどり著より)。となると、議員はいつのまにか市民よりも先に会派のほうに関心が行っている。

 

で、こういう「首長に首ったけ」議会ができてしまうと、議会のチェック機能は作動せず、首長の追認機関に成り下がる。訳の分からないハコモノや補助金が散見されるのは議会が弱い証拠なのだ。例えば、首長が議会を「追認機関」として見下していると、1年間のお金を使い道を示す当初予算案ではなく、いきなり補正予算案でハコモノ予算を計上してくる。大野では12月の小学校再建計画2.5億が記憶に新しい。

 

また、議会事務局員の人事も首長が仕切り、議長はただそれを承認するだけというのも頂けない。地方自治法第138条には「事務局長、書記長、書記、その他職員は議長がこれを任免する」とあるので、議長こそ事務局員を選ぶ権利があるのに、慣例で首長が選んでいる自治体が多いようなので、議長が議事のサポートを行う事務局員を名実ともに任命できるようにすべきだ。

 

議会は2元代表制の一翼を担う意思決定機関であり、多様な住民の意見を代弁する上でも首長の追認機関に陥ってはならないのだ。

 

 

② 議会は、多様な民意を吸収せよ。(首長では、それができない)

 

首長選挙というのは、当選者以外の候補に入れた票は「死に票」となる。2018年6月の大野市長選の結果を見てみると、当選した石山志保氏が約10000票(得票率6割弱)、高田育昌氏が約7000票(得票率4割強)獲得した。無効票や棄権はカウントしないことにする。となると、この市長選では、4割強の票が死に票となり、4割強の有権者の民意が反映されない結果となる。

それに対して議会選挙は、投票に行った約17000人の有権者の95%以上の票が当選した候補に行っている。そのために多様な民意を代弁できる機関と言えるのだ。議会不要論を唱える一部市民への良き反論となる。確かに首長追認機関に落ちた議会だったら「不要論」も理解出来るが、行政を効果的に監視できる機関は議会しかない。

 

首長はスピーディーに決断できる反面、民意の代表率という意味では、議会より遥かに低いという弱点もある。故に議会は多くの市民の意見を代弁できる機関にレベルアップしなければならない。私もこの本を読むまで気が付かなかったが、政治家や一般市民はこの点をよく踏まえておく必要がある。

 


③ 議会は、議長選挙を改革せよ

 

多くの地方議会では、議長選挙というのは市議会の議員同士の間で多数派工作によって決められる。大野市議会も例外ではない。正式な立候補や所信表明演説、質疑などを公の場で語ることなく、いつの間にか決まっているのが議長というポストなのだ。任期も申し合わせによって1年でベテラン議員がローテーションで務めることができるようになっている所も多く、議長がいわゆる名誉職化してしまっているのである。こうなると、議長の強いリーダーシップによって議会が改革されるということはない。脱・首長の追認機関化はおろか、タブレット化もペーパーレス化も実現しないだろう。

議長選挙、副議長選挙は、しっかりと立候補制にして、候補者が何を考え、どう議会を改革していくかを聞いたうえで議員が投票に臨むべきなのだ。

 

この著書では、議会改革は議長の強いリーダーシップによってもたらされる、と強く指摘している。長年議長を務めた寺島氏の持論だろう。合併以前の牟礼村議長時代、改革反対派が議長不信任を出し可決させてしまうという苦境を経験しただけあって、説得力のある意見だと思う。