【映画「はりぼて」】自民党王国を作り上げたのは誰か?

映画「はりぼて」が福井メトロ劇場で放映されている。10月9日まで上映しているので、ぜひ見て頂きたい作品である。

 

福井県を上回る自民党王国・富山県の富山市議会の政務活動費不正受給問題を追ったドキュメンタリー映画である。富山のTV局チューリップテレビのキャスターら2人が監督となって作成した作品である。

 

見どころと感想は、

● やはり自民党一党体制が様々な問題を引き起こしている点。

● その自民党一党体制を、事実上容認してきた有権者とメディア、すなわち「影の悪役」が存在する点。

● この映画の監督を務めたチューリップTVの2人が、この映画の終盤で辞職している点。

● 福井県も富山同様、自民党王国であるため、他人事感を感じさせない点

● この1年半の議員生活を振り返ると、自分が「自民党一党体制」と戦っていたことに気づかされる点。

● メディアの人間も一度議員を4年間体験してみるべきだと感じた点。

● 名脇役の富山市長が「Mr.コメントすべきでない」に徹している点。いつもやや怯えながら話す点は操り人形タイプの首長そのもの。この人もややこしい人たちに支えられて当選したのだろう。

 

合計で14人の市議が辞職することになった富山市議会事件がメインテーマ。この14人以外にも、辞職していないが問題行動を起こしたり政務活動費の不正受給を認めた議員がいる。その大半が自民党会派だが、わずかに民進党系や維新系もいる。富山市議会の「ドン」を中心に、最大会派の中で間違ったお金の使い方が常態化されていたことが大量辞職の引き金になった。

 

この会派というのもキーワードの1つ。議会内では大きな会派(いわゆる派閥)に入ることで、様々な議案を通しやすくなったり、議会内で立場が強くなったりする。…が、デメリットもある。会派の方針に反対でも、自分も賛成しないといけなくなるのだ。特に、会派にボスっぽい長老議員がいると、鶴の一声で何事も決まる。

 

そういった議会文化がこれだけの不正を長年放置してきたのだろう。だが決して他人事ではない。

 

一番歯がゆかったのは、それを意外と容認している有権者たちが映画の中で描かれていたことだった。何かこう他人事というか、あまり不正に対して怒りを感じていない市民もいた。また、市民活動家や怒っていた市民もいたが、いまいちエネルギーを感じさせない。街頭デモも何だかやる気なさそうだった。

 

監督の2人もおそらく、既存メディアの現状に幻滅し職場を去ったのだろう。理由は映画の中では描かれていなかったが、メディアにも問題がある!とこの映画の監督2人は許される範囲で言いたかったのだと思う。私も9月議会でメディアに「我々の編集権を犯すな!」と怒られ謝った記憶があるが、あれば「書くべきことを書かないことを正当化する権利を侵すな」という意味だったのかもしれない。だからムキになってきたのだろう。メディアも言うべきことを言わないのだ。私の議会での謝罪・訂正も報道して欲しかったのだが。

 

メディアの人間も1期4年は議員をしてみればいいのに、と思う。メディアの人間も仕事に使命感を持っているのはわかるが、自分で選挙や議員活動を体験した後に、ジャーナリズムに戻ると報道や記事の質がグンと上がるのではないだろうか。実際に議員を4年やってみれば、今の自民党一党体制の中で長年積み重なってきた常識を変えることが如何に困難なことか分かるはずだ。メディアの中の人たちも自分が改革する側に、質問される側に立つことも必要なのではないか。SNSの登場によって今まで以上に監視される「第4の権力」なのだから。

 

自分も県議会・市議会共に自民党議員、自民党系議員が多数のところで議員活動を行ってきた。この1年半、様々な軋轢があったが、あれは自民党一党体制との摩擦だったのだ、ということをこの映画を見て気づかされた。福井県の自民党議員の中には党籍があっても無所属で出ていたりするので、傍目からすると分かりにくい。しかし福井県では議会に自民党議員が2/3から3/4はいて、新米の政治家も次第に自民党に近寄っていく。独自路線を貫く私が様々な提案を行っても悉く否決されるが(それはそれで仕方ないが)、首長提案の予算案や人事案等はスイスイと通過していく。なぜこうなるか、やはり福井県が自民党一党体制だからである。

 

公平を期すためにここで少し自民党のフォローをすると、国政レベルでは自民党(+公明)政権は、いろいろ問題はあるものの、旧民主党政権に比べれば国民から信頼されているように見える。青山繁晴議員や山田宏議員など、自民党には立派な人材が一番豊富であるのは確かだ。また私は憲法9条改正派なので、憲法観は民主よりは自民に近い。が、それでも地方の自民一党体制は頂けない。

 

議員になる前はあんなに嫌いだっのに、護憲派の日本共産党と一緒になって議案に反対することも結構ある。9月議会で拉致問題の請願に賛成してくれたのは正直嬉しかった。議会終了後、日本共産党議員に何度も頭を下げたものである。実際に議員になると学ぶべきことが多い。

 

地方議会に少しでも関心のある方はこの映画を見てみるべきだろう。選挙で選ばれた地方議員たちが醜態を晒しているのではあるが、これは単なる喜劇ではないことがこの映画を見るとすぐ分かる。映画の中に出てくる議員が、どことなく自分たちの弱さを映し出しているような気もして、後半あたりから不快感も感じた。