【書評】Hidden Hand:見えない手 中国共産党と、たたかわば。

2018年にオーストラリアで刊行され、2020年6月に和訳された「Silent Invasion:静かなる侵略」の第2弾「Hidden Hand:見えない手」が12月25日に日本語版が出版された。先週日本語版は出ないだろうと思って英語版を購入したが、そのすぐ後日本語版もクリスマスに出版されると聞いて日英両方購入してしまった。

 

本の内容は、米国、カナダ、ヨーロッパ諸国がどのように中国共産党による政治工作を許してきたか、というものである。政治家、マスコミ・ジャーナリスト、大学・学者・研究者、芸能関係者、スポーツ関係者、企業家といったあらゆる分野において、超大国米国を含む多くの民主主義国家が知らないうちに中国共産党の影響を受けているのである。例えば、公の場所で、またはSNS上で有名人等がチベット、ウイグル、香港、中国共産党の腐敗、台湾独立、法輪功といった中国が嫌がるトピックについて語ることは許されない。このルールを順守する者は様々な恩恵が与えられ、破るものには経済的な、もしくは身体的なダメージを受けることになる。

 

私はかねてから日本の経済界、学界、マスコミ、政治家などのエリートは、一部を除き軒並み中国に篭絡されているのを知っていた。しかし、この本からは、日本と同レベルか、もしくはそれ以上に中国共産党による工作が欧米諸国で成功してしまっていることが分かる。今はむしろ多くの日本人の間で中国警戒論がかなり浸透しているが、尖閣諸島攻防戦を始め日本政府が中国の圧力に毅然とNOを突きつけているとはいいがたい。事実、日本では孔子学院は野放しの状態である。米国では完全な中国共産党によるスパイ機関であると認定されたのに、我が国の政府は何と呑気なことか、あきれ返って声も出ない。

 

今、Huaweiの5Gに代表されるように、欧米諸国でも少しずつ中国の正体に恐怖感をもって対峙する政治家が増えつつある。企業・マスコミも世論に押されてか、中国警戒論は20年前に比べて大きくなってきた。北京派の雄、朝日新聞でも時々中国を批判する記事が出ていたりする。しかし、まだまだこれから警戒を怠り隙を見せれば、中国共産党は我々の社会に「見えない手」で親中派を増やそうとしてくる。

 

中国との「友好:Friendship」は甘い香りを放つマジックワードである。この言葉につられて相手の誘いに乗ってしまうと、その後中国共産党が嫌がる発言は一切できなくなる。企業は巨大な中国マーケットに、政治家は中国の接待工作に、大学は中国人留学生が払う学費に、メディアは中国で取材をするための査証(ビザ)に、芸能・スポーツ関係者は中国関連のスポンサーと中国国内で活動するための許可に、それぞれ弱い。中国共産党はそれを見越して日本を含む西欧諸国を手なずけてきたのだ。

 

中国共産党にとって民意などは実はどうでもよい。政治・経済・文化のエリートさえ中国の言いなりにしてしまえば目的は達成できるのである…と少なくとも思ってはいる。

 

私も市議会議員をしているが、実に人間は誘惑に弱いことがこの本を読むだけで分かる。特に行政権を握っている者(大統領、首相、知事・市長等)はあらゆるプレーヤーからアプローチをかけられ信念が揺らいでしまう。あらゆる決断、政策、議論が衆人の前で「見える化」されなければ、こういった中国べったりの政策がいつの間に執行されているのだ。

 

私の住む大野市でも日中友好協会というのがあるが、人口3万の小さな自治体にこのような「友好」団体が長年存在することこそ異例である。当然、後ろに中国共産党がいるとみて良いだろう。中国にまつわる「友好」「Friendship」という言葉こそきな臭いものはない。大野市日中友好協会の会長は何を隠そう、大野市長の石山志保氏なのだ。100歩譲って日中友好そのものはいいとして、毎年60万円の市民の税金が中国共産党が背後にいる団体に使われていることはまかりならないと考える。

 

いろいろ書きたいこと、言いたいことはたくさんあるが、「Hidden Hand:みえない手」は飛鳥新書から定価2000円で販売されている。ぜひご一読をお願いしたい。