【書評】マイケル・ヒルズベリー著「China 2049」

マイケル・ビルズベリー教授の「China 2049」という本を読んだ。橋下徹氏のメルマガで紹介されていたので、橋下さんの読む本なら、ということで早速Kindleで購入。実は、橋下さんの割には中国に対する冷静な見方をメルマガで披露されていたので、わが意を得たり、と思ったのだ。これまで、橋下さんは国内政治に関しては結構鋭い説法で論客を論破してきたが、こと相手が中国や北朝鮮になると少しその鋭さが鈍る感じがしていた。しかし、ここへきて日本の尖閣諸島領有権が危機に瀕していることをメルマガで説いておられたので、読みたい!という気持ちを抑えられなかった。

 

そこで、まずこのタイトルChina2049というのは、中華人民共和国建国が1949年なので、その100年後の中国の国家的目標のことを取り上げている。一言でいえば、2049年までに中国がアメリカの国力を凌駕し、名実ともに世界最強国となる、ことである。中国人は日本人では考えもつかないような長大な計画を立てられる民族であることは知っていたが、こうやって2049という具体的な数字で出されると、いやでも現実味を感じしてまう。私はそのころ69歳になっているが、中国という独裁国家が支配する世の中に住みたくない。日本にいれば大丈夫、などと考えるのはあまい…と少し考えれば分かるのだが、目の前の仕事で忙しい私たちはどうしても目をそむけたくなる不都合な真実である。日本にいても中国の批判をしょっちゅうしている政治家や知識人、企業家は中国によってハッカー攻撃を受けるかもしれないし、経済的な損害を被るかもしれない。今でもテレビは中国共産党体制のことを直接批判できない。チベットやウイグル、南モンゴル、香港、台湾独立のことはテレビでは御法度だろう。中国をディスる企業家、メディア、学者、政治家は中国から永久追放させられてしまうからだ。我々は今でも少なからず中国の顔色を窺って経済活動をしているのである。

 

China2049から分かる新たな視点とは、超大国の米国が、いとも簡単に中国に篭絡されてきた、という事実である。第2次大戦中の日独、戦後のソ連を相手に非常に上手く立ち回った米国が、米国1強体制が続き気が緩んでしまったのだろうか。1979年の米中国交回復後、中国による大規模な工作活動に対し有効な対策を打てずにここまで来た。または、中国で弾圧を受けてきた亡命中国人に対し冷たい対応をしてきた。カーター、レーガン、ブッシュ親子、クリントン、オバマと歴代の大統領も中国に対しては緩かったようだ。保守派共和党の大統領ですら中国には終始ガードが低く、カーターとオバマに至っては警戒感ゼロ。意外だったのはクリントン政権初期は中国に対して強硬だったことだが、中国共産党が米企業家連中をそそのかしてクリントン政権に圧力をかけたため、一転して宥和姿勢に。出版が2016年のためトランプ政権に関する記述はなかったが、トランプ政権が対中強硬策に出たのは2018年からである。

 

さて、China2049を読み終えて感じたことは、日本の方向性はもうはっきりしているということである。

従来の米国主導、民主主義、人権、自由といった基本的価値観を大事にする…というより、死守すべきなのだ。我々が黙っていれば、私が70歳になる頃には必ず我々が今享受している自由・民主の土壌は、中国式の独裁主義によって汚染されているだろう。今でも福井県の多くの自治体は無投票によって指導者を選んでおり、民主的に選挙で政治指導者を選ぶという貴重な機会を自ら放棄している。独裁政治は、「寄らば大樹の陰」「敵を作りたくない」「政治エリートに任せれば楽」という社会風土の中で育まれていく。それは、力(ジャイアン)とカネ(スネ夫)が支配する世の中であり、今もなお存在する共産国のような社会なのだ。

 

日本国民は、自由・民主主義を支持する国内外の仲間と手を取り合い、中国式の独裁政治に阿(おもね)る勢力と対峙せねばならない時が来ている。